不眠症の方によくありがちな4つの誤解とは?専門機関で睡眠障害を治す4つメリットについても解説

「なかなか寝られない」

「寝てもすぐに起きてしまう」

実は多くの方が陥りやすい睡眠トラブル。

日本では一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状を有しており、女性に多いことが知られています。さらに、​成人の約10%が「慢性不眠症」という非常に長期間におよぶ睡眠トラブルに見舞われています。

なぜ、これだけ医学が発達しているのに10人に1人が「慢性不眠症」になってしまうのでしょう。

様々な要因があげられますが、中でも大きいのが「専門機関による不眠症治療の誤解」です。今回は、こうした不眠治療にまつわる誤解とクリニックで睡眠障害を治す4つのメリットについて解説していきます。

(参照; 厚生労働省eヘルスネット「不眠症」)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html

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慢性不眠症に隠された「医療への誤解」

例えばみなさん、不眠症治療についてこんな誤解がありませんか?

あなたは、いくつ当てはまるか確認してみてください。

1. 薬物療法が唯一の治療法であるという誤解

みなさん、クリニックで治療というと「どうせ睡眠薬出すんでしょ?」と思っていませんか?もちろん睡眠薬は強力な武器の1つですが、それだけではありません。

不眠症治療には、薬物療法だけでなく、認知行動療法やリラクセーションテクニック、睡眠習慣の改善など、複数のアプローチがあります。

2. 不眠症は短期間で完治するという誤解

不眠は一時的なものと思っていませんか?冒頭にもお伝えした通り、不眠症の方のうち「慢性不眠症」といって、非常に長い期間、不眠症で治療をしなければならないこともあります。

後述しますが「不眠症」といっても原因はさまざま。原因によっては、非常に長い期間治療が必要なこともあります。もちろん一部の患者さんは短期間で改善が見られることもありますが、長期間かかることも十分ありうるのです。

3. すべての不眠症はストレスが原因であるという誤解

もちろんストレスは不眠症の一因でありますが、他にも様々な原因が存在します。

例えば、生活習慣の乱れ、医学的な問題、睡眠環境の不適切さなどが影響していることもありますよね。

また本人は気づいていないだけで「睡眠時無呼吸症候群」「うつ病」「不安症」「適応障害」「内分泌疾患」などまったく異なる理由で不眠症になっていることもあります。

全ての不眠症の原因を「ストレスだ」と自己判断するのは非常に危険です。

4. 不眠症は自己治癒するので治療は必要ないという誤解

「不眠症は気合で勝手になおっていく」と考える方もいますが、もちろんそんなことはありません。

一時的な不眠は自然に解決することがありますが、長期的な不眠症は放置すると逆に悪化することがありうるのです。

あなたは4つのうちいくつ当てはまっていますか?このように不眠症自体は意識していても「自分で勝手になおるだろう」「クリニックに行く必要ない」などの思い込みや誤解で長引きやすくなってしまうのです。

では、クリニックや専門機関ではセルフケアと違ってどんなことができるのでしょうか。

クリニックや専門機関でしかできない不眠症の治療法「4選」!

1. 正確な診断を受けることができる

実は、不眠症の原因は非常に多彩です。単に自分が「不眠症」と思っていたとしても、きちんと診断してみると、うつ病や不安症・双極性障害など「隠れ疾患」が潜んでいることが往々にしてあります。

そして、「隠れ疾患」があるほどセルフケアでは解決しません。

ある臨床研究によると、不眠症のリスクの高い290名のうち、63 人 (21.7%) は「隠れ不安症」、21 人 (7.2%) は「隠れうつ病」、そして54 人 (18.6%) は「隠れ不安症とうつ病」の両方を併発していました。

さらに、この「隠れ不安症+うつ病」を持つグループは、他のグループよりも睡眠関連の尺度で悪いスコアと関連していたのです。

こうした「隠れ疾患」は専門的な知識と経験がないとわからず、ほとんどは専門機関やクリニックにいって初めて診断されやすい疾患ばかり。

しかも、自分勝手に「ストレスだろう」と自己判断すると治らないばかりか、悪くなることも十分ありうるのです。

クリニックや専門機関で不眠症を治療すると、こうした「最初のつまずき」をなくせます。

(参照:Chang-Myung Oh,Ha Yan Kim, Han Kyu Na, Kyoo Ho Cho,and Min Kyung Chu. The Effect of Anxiety and Depression on Sleep Quality of Individuals With High Risk for Insomnia: A Population-Based Study, Front Neurol. 2019; 10: 849.)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6700255/

2. 個別に合った検査やプランニングを考えてもらえる

睡眠障害の原因は様々なことはお伝えしました。しかし実は、睡眠専門機関での検査も患者さんにあわせて多種多様です。

例えば、国立精神・神経医療研究センターでは、不眠症の方の状態にあわせて

  • 血液検査
  • 心電図検査
  • 頭部画像検査(MRIなど)
  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)
  • 反復睡眠潜時測定検査(MSLT検査)

の検査が行われています。

このように、「なんとなく自分の不眠症にはこの治療法があっているだろう」ではなく、科学的なエビデンスによって裏付けられた検査やプランニングがされるのは大きいですね。

もちろん、ここまで厳密な検査をする病院ではなくても、睡眠のプロによる膨大な治療経験に裏付けされた治療プランが提供されるので、少なくともセルフケアよりずっと信頼性の高いプランニングがされることでしょう。

(参照:国立精神・神経医療センター「睡眠外来」)https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/special/sleep-disorder.html

3. 安全で効果的な治療法を受けることができる

もちろん、クリニックや専門機関で処方される薬は、ドラッグストアで購入できる薬よりもずっと幅広く効果的な薬が多いです。

リラックスする受容体として欠かせない神経伝達物質である「GABA」の効果を高める薬だけでなく、最近は覚醒リズムや睡眠リズムを整える「メラトニン」や「オレキシン」の作用を調節する薬なども使用されます。中には、抗うつ剤を睡眠薬として使用する場合もありますね。

どの薬がよいかは症例によって大きく異なりますし、効果が高い分、副作用も強くなりがちなためプロの目線が必要です。その分、薬物治療の有効率はセルフケアよりも跳ね上がります。

さらに、臨床心理士によるリラクゼーション法や認知行動療法・高照度光療法など、薬物治療によらない治療方法を受けられるのもクリニックや専門機関の特徴ですね。

このようにセルフケアでは決して出来ない効果的な治療方法が受けられるのも、専門機関やクリニックならではと言えるでしょう。

4. 継続的なサポートが受けられる

睡眠障害の治療は、短期間で完治することは少ないです。さらに、環境の変化やちょっとした体調不良で不眠症が強く出てしまうこともあるでしょう。

しかし病院やクリニックではそんな急な体調不良の時も安心です。専門とする医師から継続的なサポートを受けることができ、治療の進行状況を把握しながら適切な治療法を続けられます。

また、状況に応じて検査を追加したり、投薬内容を変化させることで柔軟なサポートを受けることができるでしょう。また、「1人で悩まなくていい」という心理的な負担の軽減があることも大きいですね。

まとめ~不眠症治療は専門機関やクリニックで~

不眠症のこと、なかなか人に言い出しにくいですし、忙しさにかまけて自分で何とか治そうとしがちになりますよね。

しかし、やはり「餅は餅屋」です。専門機関やクリニックに一度相談するだけで、あなたの睡眠治療は劇的に変わります。

日本人の3割以上が悩んでいるとされる不眠症。どうか遠慮なさらずに専門機関やクリニックに相談してみてください。

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