睡眠は記憶の整理時間!子どもの成長にもかかわる睡眠のメカニズムを解説

人間は睡眠中に記憶を整理すると言われています。そのため、睡眠時間の確保や良質な睡眠は子どもの成長にかかせません。

そこで今回は、睡眠が記憶を整理するメカニズムと子どもの成長におよぼす影響を解説します。

子どもの推奨睡眠時間や、「睡眠が大事とわかっていても子どもが寝てくれない!」とお困りの方向けの安眠対策も紹介しますので、参考にしてみてください。

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睡眠のメカニズム

睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、それぞれ役割が異なります。

レム睡眠とノンレム睡眠の違いを見てみましょう。

レム睡眠とノンレム睡眠の違い

人間は眠りにつくと、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを繰り返します。

睡眠のサイクルには個人差がありますが、入眠後に深いノンレム睡眠からはじまり睡眠欲求が低下する朝方には浅いノンレム睡眠へと変化していきます。ノンレム睡眠の間には90120分間隔でレム睡眠が出現し、朝方になるにつれ一回のレム睡眠の時間はだんだんと長くなっていきます。

レム睡眠とノンレム睡眠中の体は、以下のような違いがあります。

レム睡眠

ノンレム睡眠

眼球運動

入眠時に遅い眼球運動あり

急速な眼球運動あり

脳の状態

活動

休息

体の状態

全身の筋肉はゆるんでいる

やや緊張状態

睡眠状態

眠りが浅く目覚めやすい

眠りが深く目覚めにくい

入眠時間の前半に割合が多いノンレム睡眠は、副交感神経が優位のリラックス状態で「脳の休息時間」です。入眠時間の後半に割合が増加するレム睡眠は、全身の筋肉がリラックスしている「体の休息時間」ですが、脳は活動していることから夢を見やすい時間と言われています。

睡眠は記憶の整理時間

レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルには、記憶を整理する役割もあります。

最近の研究ではレム睡眠中とノンレム睡眠中に、それぞれ下記のような記憶の整理が行われていることがわかってきました。

レム睡眠

ノンレム睡眠

  • 新しい記憶を固定する準備時間
  • 嫌な記憶を忘れる
  • 記憶の整理と固定
  • 記憶を引き出すインデックスの作成

子どもの睡眠と成長

記憶の整理や体の休息などの効果がある睡眠は、子どもの成長にも大きく影響します。脳や体が発達段階の子どもにとって、具体的な睡眠の効果は次の2つです。

脳の記憶を整理する

睡眠中に脳は記憶を整理しますが、整理される記憶とは「その日に何があったか」だけではありません。

たとえば、勉強した内容などはもちろん、自転車のこぎ方などの体の使い方や道具の使い方など、日々、子どもが成長していくなかで経験するすべての記憶です。未経験のことが多い子どもたちにとって、日中に経験した記憶は膨大になるでしょう。

そのため、子どもたちにとって睡眠は経験したたくさんの記憶を整理する重要な時間なのです。また嫌な記憶や不要な記憶を削除し、情報を取捨選択することで脳の活性化をはかっています。

成長ホルモンの分泌を促す

成長ホルモンは骨だけでなく筋肉やエネルギーを作り出す働きや、免疫力を高める役割があるホルモンです。

寝る子は育つと言われるように、成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されると言われています。以前は、午後10時から午前2時は「睡眠のゴールデンタイム」として成長ホルモンが多く分泌されるという意見もありました。しかし最近の研究では、成長ホルモンは入眠してから最初のノンレム睡眠中、つまり深い眠りについたときにもっとも多く分泌されるという説が有力です。

そのため入眠後3時間程度は、質の良い睡眠をとったほうが良いでしょう。また成長ホルモンの分泌は、概日リズム(体内時計の周期)の影響も受けるため、日中にしっかり活動しておくことも大切です。

安眠するためには

下記は、米国国立睡眠財団が発表している年齢ごとの推奨睡眠時間です。

03カ月

1417時間

411カ月

1215時間

12

1114時間

35

1013時間

613

911時間

1417

810時間

成人(1864歳)

79時間

お子さんの睡眠時間を推奨睡眠時間と比較してみてください。十分な睡眠時間は確保できているでしょうか?

日本の子どもの平均睡眠時間は推奨睡眠時間より短いと言われています。また厚生労働省は、22時以降も起きている幼児や、夜型のため学校の授業に集中できず発達障害を疑われる小中高生など、睡眠習慣が乱れている子どもの増加を指摘しています。

しかし「子どもが寝てくれない」と悩むママさんは多いでしょう。そこで、ここでは子どもの安眠のためにママができる3つの対策を紹介します。

生活リズムを整える

夜間にきちんと眠気がきて入眠するには、決まった時間に起床・入眠し体内時計のリズムを整えることが大切です。

ただし、本人が眠くないのに「9時には寝室に行く」のようにルールを押し付けてしまうと「布団に入っても眠れない」と、入眠できない意識を植え付けかねません。夜間に眠気が起こるよう日中にしっかりと活動し、布団に入るのは子どもが眠たくなってからが理想です。

また、寝る前のテレビやスマホ、入浴は脳や交感神経を刺激し入眠の妨げになるため控えましょう。

食事の工夫

生活リズムを整えるためにも食事は決まった時間に摂りましょう。

朝食は昼間に活動するエネルギー源になるうえに、食べることで体温が上がり目覚めを良くする効果もあります。寝る前に食事を摂ると体が消化を優先してしまうため、夕食は就寝23時間前までには終えるようにしましょう。

ただし、空腹で眠れないのは逆効果になるため、どうしてもお腹が減っているときはホットミルクを飲ませるのがおすすめです。牛乳には、安眠効果がある「トリプトファン」が含まれており温めることで血流が良くなり寝付きの改善が期待できます。

睡眠環境を整える

歯磨き・トイレ・本を読むなど、睡眠前の行動を習慣化し、睡眠環境を整えましょう

子どもの寝室には大人がいる部屋の明かりがもれないよう工夫し、適度な暗さを保ちます。朝はカーテンを開け、自然な光を浴びるようにしてください。

リラックス効果が期待できるカモミールやラベンダーなどのアロマを使って、睡眠環境を整えるのもおすすめです。

まとめ

子どもは経験した記憶を睡眠中に整理することで成長していきます。

睡眠中に記憶を整理するには、不要な記憶を削除するレム睡眠と、記憶の整理と固定をするノンレム睡眠のバランスが重要です。

バランスのとれた質の良い睡眠で子どもの成長を促すためにも、この記事を参考に安眠できる環境づくりを実践してみてください。

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