睡眠はまとめてとる?分割してとる? 正しい睡眠知識を身につけよう!

あなたは「忙しくて睡眠がうまく取れない!」と思ったことはありませんか?

仕事や家事、子育てなどに追われると、どうしても削られやすいのが「睡眠時間」ですよね。

そこで、ついつい睡眠を分割してとってしまう方もいるでしょう。

実際、睡眠はまとめて取ったほうが良いのでしょうか?それとも睡眠を分割してとっても問題ないのでしょうか。

今回はみなさんの睡眠の質を高める知識として「分割睡眠」について考えてみましょう!

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分割睡眠とは?

分割睡眠とは「一日の睡眠時間を2回以上に分けてとる睡眠パターン」のこと。

通常、多くの人は夜間に一回の連続した睡眠をとりますよね。例えば「午後10時から午前6時まで」といった具合に睡眠を細切れにすることなく、連続して睡眠時間を確保します。これが「連続睡眠」です。

それに対して分割睡眠では、夜間に短時間の睡眠をとった後、一度目覚めて活動し、その後再び寝ることで、合計の睡眠時間を確保していきます。

例えば、サラリーマンや主婦の場合、夜10時から深夜2時までの4時間寝た後、2時間ほど起きて家事や趣味に時間を使い、その後、朝4時から6時まで再び2時間寝るという形ですね。

このように、一日の睡眠時間を2つのブロックに分けてとることが分割睡眠となります。

では、まとまった連続睡眠と分割睡眠はどちらがいいのでしょうか。

結論: 分割睡眠よりもまとまった「連続睡眠」が理想

結論からいうと「分割睡眠よりもまとまった睡眠が推奨」されます。

まとまった睡眠のメリットは、「睡眠サイクルが正常に働き、深い睡眠やレム睡眠に十分な時間を確保できる」こと。

実は睡眠は量だけでなくて質も大切であることが、過去の研究からわかっています。

古来、狩猟自体では太陽がのぼると同時に活動し、太陽が沈むと自然に眠りにつく生活を長年にわたり繰り返していました。

電気や電灯、ガスの技術が発達し、夜中も昼間と同じように活動できるようになったのは、人類の歴史から比べればごくごく最近のことです。

そして、こうした「朝起きて夜に眠る生活」は私達の自律神経や「サーカディアンリズム(概日リズム)」を担う遺伝子系統に深く刻まれています。

そのため、まとまった睡眠である「連続睡眠」では体の修復やリフレッシュが効率的に行われ、翌日の活動に十分なエネルギーが得られます。そして、連続した睡眠をとることで、免疫力や認知機能の維持、ストレス軽減などの効果も期待できるでしょう。

一方、分割睡眠は「本来の睡眠リズムから外れた不自然な睡眠」であるため、どうしても深い睡眠が十分に得られません。結果、体の疲労回復や認知機能に影響を与える可能性があります。

こうした分割睡眠のデメリットは医学的に証明されています。

最新研究からわかった「分割睡眠」の驚くべきデメリット

ここで1つ、分割睡眠が認知機能に影響を及ぼすことがわかった医学論文を紹介しましょう。

この論文は、睡眠の断片化がアルツハイマー型認知症の有無に関わらず高齢者の認知機能に悪影響を及ぼすことを報告したもの。

実際には、685 人の成人 (65歳以上、265人アルツハイマー型認知症、420 ​​人がアルツハイマー型認知症でない健常) を調査し、死後の脳の状態とアクチグラフィを元にした睡眠状態から研究を行っています。

その結果、睡眠の断片化が大きいほど、老化したミクログリアに特徴的な遺伝子の新皮質での発現が高くなり、形態学的に活性化されたミクログリアの割合が高くなります。

一般的にはミクログリアの活性化は アルツハイマー病の原因物質である「タウ蛋白」の過剰リン酸化の重要な要因といわれており、アルツハイマー病の進展に大きく関わっていることがわかっています。

このように、睡眠の断片化がアルツハイマー型認知症の進行や発症に関与する可能性もいわれており、実行機能の低下や認知機能が衰えやすくなると言われているのです。

(参照: Sleep fragmentation and cognitive function in older adults with and without Alzheimer’s dementia.Kirusanthy Kaneshwaran et al. Sci Adv. 2019.)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31844665/

分割睡眠のメリットは?

では、分割睡眠にはメリットはないのでしょうか?

もちろん分割睡眠にもいくつかメリットが挙げられます。例えば以下の通りです。

1. 柔軟なスケジュールに対応することができる

分割睡眠は、生活リズムや仕事、家庭の都合に合わせて睡眠スケジュールを調整できるので、忙しい日常生活でも対応がしやすくなります。

例えば夜遅くまで仕事しないと行けない職業や、しばしば夜勤が続いたりする職業の場合は、どうしてもまとまった時間がとれません。

この場合は分割した睡眠でもとったほうが仕事のパフォーマンスも上がるでしょう。

2. 昼寝によるリフレッシュ効果が期待できる

短時間の昼寝は、瞑想やリラクゼーション効果があり、一時的に疲労感を軽減し、集中力や気分を向上させることができます。

例えば、サラリーマンが昼休みに15分から30分の昼寝を取ることで、午後の仕事に集中力を持って臨むことができます。

また、子育て中の主婦が子どもが昼寝をしている間に自分も昼寝をすることで、夕方以降の家事や子育てに疲れを感じにくくなりますよね。

医学論文でも昼寝の有効性は証明されているので、まとまった時間寝ていても昼寝をすると午後を有意義に過ごすことができます。

(参照: The effects of napping on cognitive functioning.Nicole Lovato et al. Prog Brain Res. 2010.)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21075238/

3. 夜間を効率的に活用できる

夜間に起きている時間が増えることで、静かな環境で仕事や家事、趣味を楽しむことができます。これにより、日中の時間をより効率的に活用することが可能になります。

例えば、サラリーマンが朝早くに目覚めて1〜2時間仕事や自己研鑽に取り組むことで、日中の業務が忙しい時期でもスキルアップが可能になります。

また、主婦の場合、子どもが寝静まった夜間に読書や趣味、友達とのコミュニケーションなどに時間を使うことで、自分自身の時間を有意義に過ごすことができるかもしれません。

もちろん、その時間を睡眠にあてるほうが健康には1番ですが、人の価値観やライフスタイルは人それぞれ。

自分の時間がもち有意義な人生にするのに必要なら、分割睡眠も1つの手かもしれません。

ライフスタイルにあわせた睡眠習慣を

今回は、分割睡眠とまとまった連続睡眠の特徴について紹介していきました。最後に分割睡眠と連続睡眠のメリットデメリットをまとめると次のようになります。

分割睡眠のメリット:

1. 昼寝によるリフレッシュ効果

2. 夜間の効率的な活用

3. ライフスタイルに合わせやすい

分割睡眠のデメリット:

1. 短時間の睡眠で深い睡眠が十分に取れない場合が多い

2. 生活リズムが乱れる可能性

3. 将来、認知機能の低下やアルツハイマーの進行などの健康に障害に

連続睡眠のメリット:

1. 一度にまとまった睡眠を取ることで、深い睡眠が確保されやすい

2. 昼間の活動と夜間の睡眠のリズムが整いやすい

3. 健康の面では夜間の連続睡眠が理想的

連続睡眠のデメリット:

1. 睡眠時間が不足すると、翌日のパフォーマンスが低下する

2. 長時間寝ることができない人にとっては、無駄な時間に感じやすい

実際どちらがいいかは個人個人のライフスタイルでも大きく異なります。なるべく連続睡眠を意識しながら自分の理想的な睡眠習慣を作ってください。

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